4 一般的な使用方法
JDBC API の仕様を詳しく見る前に、一般的な使用方法を理解しておくと役に立ちます。一般的な使用方法には、アプレットとアプリケーションの 2 種類があり、それぞれ用途が異なります。
4.1 アプレット
現在、もっとも一般的な Java の使用方法は、ネットワークを通じて Web ドキュメントの一部としてダウンロードされるアプレットの実装です。このカテゴリに含まれるデータベースアクセス用のアプレットは、JDBC を利用してデータベースにアクセスできます。

たとえば、指定した株価の推移グラフを表示する Java アプレットをユーザがダウンロードするとします。このアプレットは株価の推移を検索するために、インターネット上でリレーショナルデータベースにアクセスできます。
アプレットは、信頼性の境界を越えて使用する場合がもっとも一般的でしょう。たとえば、インターネットを通じて別の会社からアプレットを取得するなどの場合です。この使用方法は「インターネットシナリオ」と呼ぶことができます。ただし、アプレットはインターネットだけではなく、クライアントマシンのセキュリティに問題のあるローカルネットワーク上でダウンロードされることもあります。
アプレットは一般に、従来のデータベースアプリケーションと多くの点で異なります。
- 信頼されないアプレットは、許可される動作が厳しく制限されます。特に、ローカルファイルへのアクセスと、任意のホストへのネットワーク接続を開くことは許可されません。
- インターネット上のアプレットは、認証とデータベースへの接続に関して新たな問題を提起します。1
- 国際的に利用されるデータベースの場合には、データベースコネクティビティの実装に関して、パフォーマンスに従来とは別の考慮が必要になります。インターネット上のデータベースアプレットは、ローカルエリアネットワーク上のデータベースアプリケーションに比べて、ネットワーク応答時間が大幅に異なります。
4.2 アプリケーション
Java を使用して、カスタムアプリケーションや市販のアプリケーションのようにクライアントマシン上で実行できる、通常のアプリケーションを開発することもできます。Java のこの利用法は、Java の開発ツールが改良され、プログラミングの生産性の向上などアプリケーション開発上の Java の長所が認識されるにつれて、ますます一般的になると思われます。このような利用法では、Java のコードは信頼でき、他のアプリケーションのコードと同様にファイルの読み書きやネットワーク接続のオープンが可能です。

このような Java アプリケーションのもっとも一般的な用途は、企業内、つまり「イントラネット」での使用なので、「イントラネットシナリオ」と呼ぶことができます。たとえば、ある会社が自社のすべてのアプリケーションを、自社のデータ構造に基づくフォームに対して Java コードを生成する GUI 構築ツールを使って、Java で実装するとします。これらのアプリケーションは、ローカルまたは広域ネットワーク上の自社データベースサーバにアクセスします。また、Java アプリケーションはインターネットを通じてデータベースにアクセスすることもできます。
この「Java アプリケーションとイントラネット」のケースは、アプレットのケースとは多くの点で異なります。たとえば、データベースを特定するもっとも自然な方法は通常、ユーザまたはアプリケーションがデータベース名 (たとえば Customers や Personnel など) を指定することです。ユーザは、システムが特定のマシン、DBMS、JDBC ドライバ、データベースを探してくれることを期待します。
4.3 その他の使用方法
この他に、次のような使用方法があります。
- 「信頼できるアプレット」は、Java の Virtual Machine が信頼できるとみなすアプレットです。これらのアプレットが信頼される理由は、特定の暗号キーを使って署名されていたり、ユーザが信頼できると判断する特定の場所からのアプレットだからです。これらのアプレットはセキュリティ上の目的でアプリケーションと同様に取り扱われますが、インターネット上でデータベースを検索するなどの別の目的で、もっとアプレットらしい動作をさせることができます。
- 「3 層アクセス」は、Java GUI から DBMS サーバへのダイレクトなクライアント/サーバアクセスとは対照的なデータベースアクセス方法です。この場合は、Java アプリケーションは実装するネットワーク上のサービスの「中間層」を呼び出します。次に、データベースにアクセスします。これらの呼び出しは RPC (遠隔手続き呼び出し) または ORB (object request broker) を通じて行われます。どちらの場合も、オブジェクトパラダイム (請求書の作成や住所変更などのトランザクション用のオペレーションを持つ「customer オブジェクト」など) を使うと、中間層をうまく定義できます。
MIS の管理者にとって、3 層アクセスは、DBMS サーバへの無制限な直接の更新を許可せず、企業内データへの合法的なオペレーションを明示的に定義できるという点で魅力的です。そのため、今後より一般的になると思われます。また多くの場合、3 層アーキテクチャにはパフォーマンス上の長所があります。

現在、中間層は通常、C や C++ などの言語で実装されています。最適化コンパイラの導入によって Java のバイトコードを特定マシン用の効率的なコードに変換できるようになれば、中間層を実際に Java で実装できるようになる可能性があります。Java には、これらの目的に有効な多くの特質 (堅牢さ、セキュリティ、マルチスレッドなど) があります。JDBC はこの中間層で利用されるようになります。
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たとえば、ODBC の場合のように .INI ファイルやクライアントマシンのローカルレジストリにあるデータベース位置やドライバに依存することはできません。
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